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コミュニケーションの目的ってなんだろう?

森川 友惠

 おはようございます。特定社会保険労務士の森川です。今、ご相談が多いのは「ハラスメント」関連。これは、業種に関わらず、全般的に増えてきています。

皆様の職場はいかがでしょうか?

 ご相談として承り、お話しを紐解いていくと…結局「それ、ご本人に伝えていますか?」「この話は上長にご相談されてますか?」という、そもそもの基本的なコミュニケーションの量が絶対的に不足しているパターンと、「その伝え方では上手く伝わらないようねーー」「その話し方では相手を怒らすでしょう。」というコミュニケーションの質のパターンの2つで、関係性がこじれ、結局

『今のその言葉、ハラスメントですよ!』という言葉でなんでもかんでも決着をつけようとする風土が出来上がってしまっている職場になっているように思います。

コミュニケーションの目的は?

コミュニケーションの目的を皆様はどのように捉えらているでしょうか?企業研修でこの質問すると、

  • 指示や命令をするため
  • 自分の思いや感情を伝えるため
  • 意思表示をするため
  • 教育や指導をするため

等々のご意見を頂くことが多いですね。確かに、職場では指示や命令、教育、指導のためにコミュニケーションを取る…という場面は想像できそうですね。でも、これって、実は自分から発信の一方通行のコミュニケーションなんですよね。自分の言いたいこと、伝えたいことだけを言うというスタンスでは、職場では上手く物事を進めることができないのではないでしょうか?

コミュニケーションの目的は、ラポール(心 互いに親しい感情が通い合う状態を言います)言い換えれば、あなたと私でいかに「信頼関係」を作ることができるか?これにかかっています。

コミュニケーションの成否は、コミュニケーションを取った後に、2人の関係が以前と比べてどうなったか?で判断すると考えて頂くと、

例えば、

“協力したい!”という思いが自然に生まれたのであれば、コミュニケーションは成功でしょうし、

話しているうちに対立軸が鮮明になり、言い合いに発展しまったのであれば、コミュニケーションを見直しましょうというサインです。

そう、コミュニケーションで大事なのは、何を話したのではなく、何が伝わったか?がポイントなのです。

職場の雰囲気は誰が作るもの?

態度の悪い拗ねた人が、2、3人いるだけで職場の雰囲気は台無しになる…という経験は誰もがしたことがあると想像しますし、私も会社員時代にそのような経験をしてきました。もしかしたら、今、まさしく!とお悩みの方もいらっしゃるのではないかと思います。

職場は様々な年齢層、価値観を持った人の集合体であり、その上、人は感情を持った動物です。ですから、職場は常に、安心と不安を行きかい、揺れ動くのが当たり前。ただいま、絶賛流行中の『心理的安全性を高めよう』と考えても実践するには非常に難しいと感じられているのではないでしょうか?

ニューサウスウェールズ大学のウィル・フェルプス准教授が行った【腐ったリンゴの実験】では、チームに悪影響を与える典型的な3タイプを想定して、演技力が抜群の学生にその役目を演じさせて、チームの生産性がどれほど影響を与えたかを測定しました。

演技力抜群の学生が演じた『典型的な3タイプ』

1.性格が悪い人:相手に対して攻撃的、反抗的な態度をとる人

2.怠け者:労力を出しおしむ、一生懸命やらない人

3.場を暗くする人:ネガティブで愚痴や文句ばかりを言っている人

斉藤 徹 「だから僕たちは、組織を変えていける」

実験の結果、どのパターンでも、チームの生産性は30~40%も生産性が低下したそうです。

もし、この典型的な3タイプが皆様の職場にいたら、どんなコミュニケーションを取られるでしょうか?実は、この実験で、生産性が落ちなかったチームがあったのですが、その理由は何だと皆様は思われますか?

実は、学生が演じた『典型的な3タイプ』の毒を中和したのは、人の笑顔だったのです。生産性が落ちなかったチームには、この学生がよからぬ行動をとると、笑顔を振りまき→質問で発言を促し、傾聴→間接的な表現で場に安全性を提供する存在がいたからそのチームは生産性が落ちなかった…とか。

人の毒を中和するのは、結局人という事なのです。職場の雰囲気を作っているのは、他の誰でもないあなたなのです。

職場で意識したいこと

 とは言え、会社を丸ごと変えようとしても、権限もないし、余計な責任を抱え込みたくない…と考える方も多いと思いますが、意識して頂きたいのは、自分の『半径5M』から変えるということです。あの有名なスティーブン・コヴィーの”7つの習慣”にもある『影響の輪』(自分でコントロールできる、影響を与えることができる範囲)にご自身の力を集中させる。これなら、明日からすぐスタートできそうですよね。

是非、新たな1年のはじまりの出勤1日目、ご自身から挨拶をしてみられる…ところからスタートされてみてはいかがでしょうか?

皆様の参考になれば、幸いです。

ABOUT ME
森川 友惠
森川 友惠
特定社会保険労務士
京都市下京区で開業しております。前職はコナミスポーツクラブで長年正社員として勤務しておりました。24年間の勤務で異動回数は12回。店舗勤務がその大半ですが、勤務地は長崎~東京まで様々な規模の店舗を担当しておりました。こちらでは、人と人の関係を良くする話、チームのコミュニケーションについてお話しします。
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