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心理的安全性の高い職場を作るには、行く先を明確に。

森川 友惠

こんばんは。特定社会保険労務士の森川です。気がつけば桜は満開…。そして、散り始めています。早い。早すぎますね。時が経つのは。年齢を重ねれば重ねるほど、その傾向にあります。これには、色々な説があるそうですが、有名な説に「ジャネの法則」というのがあり

ジャネの法則(ジャネのほうそく)は、19世紀フランス哲学者ポール・ジャネが発案し、甥の心理学者ピエール・ジャネの著書[1]において紹介された[注 1]法則。主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的に説明した。ジャネーの法則とも表記する[2]

簡単に言えば、生涯のある時期における時間心理的長さは年齢に反比例すると主張したものである。

例えば、50歳の人間にとって1年の長さは人生の50分の1ほどであるが、5歳の人間にとっては5分の1に相当する。よって、50歳の人間にとっての10年間は5歳の人間にとっての1年間に当たり、50歳の人間の10日が5歳の人間の1日に当たることになる。

引用元 ウキペディア

 私にとっては、最もしっくりくる法則で、日々、スピードに置いていかれないように、心して過ごしております。

さて、本題に入りたいと思うのですが、「心理的安全性の高い職場」はどうやって作るのか?書籍や昨年末に卒業したhintゼミでの対話、過去の経験、社労士業の中で考え、実践してきた事を私自身の言葉で少しずつ書き進めたいと考えています。

組織の在り方について

 社労士業7年で思う事は、「対会社」「対従業員」という視点で話をされる機会が本当に多いという事。本来、会社(社長)と従業員は、手を取り合って、同じ方向を向いて行動するモノ。いつからどこで間違ったのか?時間を重ねるうちに対立する姿勢に。

例えば、社労士の仕事のひとつである”就業規則の作成”さえも「リスク回避型」のモノが好まれ、巷では数多くの雛形が世の中に溢れています。実際、社長にその意向が強く、リスク回避型で作成することもありますので、否定はしません。でも、この傾向で作ると、間違いなく、周知する時に困るわけです。あれもしてはダメ、これもしてはダメ。全文「否定形」で書かれた就業規則を、従業員の方が喜ぶはずはないのです。

では、どうすれば良いのか? 弊所では、社長ご自身が従業員をどのような存在だと思われているのか?ここから確認するところからスタートしています。

それは、人を人として見ているのか?それとも感情を持たない道具として見ているか?という点、「私も人間で、相手も人間」という感覚であれば、相手の心や感情に配慮し、相手の価値観も大切にしようとされますし、反対に、「私は人間だけど、相手は道具」という感覚であれば、求めるのは役割や機能だけ。例えば、仕事上で何か対立軸が生じた場合、前者の社長であれば、まず、”なぜ、そんな風に考えるの?”と尋ねるでしょうし、後者の社長であれば、”文句言わずに、求められた事だけやっておけ”みたいな指示になるでしょう。外から支援する立場の社労士としては、いずれの社長も否定はしませんが、後者の社長とは、長いお付き合いにはならなかったのが事実ですし、人を人として尊重できない職場で、心理的安全性の高い職場を作ることというのは到底達成出来ないと考えます。

もう1つは、同じ方向が示せているか?というところで、今で言うなら、

  • パーパス(会社の存在意義)
  • ミッション(パーパスを実現するために何をするのか?)
  • ビジョン(パーパス実現のプロセスにおいてあるべき姿)
  • バリュー(行動指針)

この辺りを、きっちっと作り込むことが必要かと思います。私たちは何のために存在し、どこへ向かうのか?何を目指して、何を行動するのか?行先が分からなければ、行動しようがないですよね。前職のコナミスポーツクラブでは、(コナミに買収されるまで)明確なバリューが存在していました。それは、

  • 愛情、感謝、礼節を拡げよう
  • 体育を通じた健康な心身を拡げよう
  • 能力への挑戦を拡げよう

前職を辞めて7年、コナミに買収されてからは20年以上経過していますが、まだ明確に覚えているころも我ながら凄い!と思います(笑) 何より、このバリューがあらゆる人間に浸透していたおかげで、とにかく、行動に迷いがありませんでした。1人のインストラクターとしても、1人のマネージャーとしても、店舗責任者としても、本当にありがたい存在だったのです。

 この辺りは、何かしら作られているところが多いので、ここをちゃんと形にしながら、従業員に浸透させることからスタートとなる訳です。

心理的安全性を高め方は組織によって違う

現在は”個業”で十分対応できていますという職場

 現在の組織が、個業、分業が進んでいて、周りの人との接点を増やすことがベストではない場合や、無理やり接点を増やすことで揉め事が増えるような状況(接点が増えた分、当たる可能性は高くなります)であれば、時期尚早だと考えます。ですが、チームで成果を出し続ける必要がある場合は、同じ方向を示すことは、ぜひとも取り組まれるべきだとお伝えしています。

3人寄れば文殊の知恵(かなり時代を感じる表現)で、これを上手く機能させるためにも、『心理的安全性が高い職場』が求められるのです。いわば、子供にとって家が『安全基地』のように、その職場では、自分を認めてもらえてる、ここでは、何を言っても否定されない…という思いが、本人の肯定感を上げ、新たな行動に駆り立てるのです。

チームとは言われているけれど、メンバーのことには無関心なチーム

 このようなチームの場合、まずはチームに属するリーダー自身(リーダーに限らずそこに属するメンバーが1人いればスタートできます。)が”変えたい””変わりたい”と思えることが重要です。チームに誰一人として、「心理的安全性を高めたい」と思える人がいなければ、高めることは難しいです。

 例えば、変えたいと考えるリーダーが社長の場合、”心理的安全性を高めろ!”と指示しがちですが、それでは迷惑がられるだけ。組織の大小関わらず、やるべきことは、「なぜ、心理的安全性を高める必要があるのか?」「なぜこれに取り組む必要があるのか?」をご自身の言葉で語ることです。すると、組織の2割程度の方は自ら”やってみたい”と考えられる方が出てくるはずですから、この方たちが属しているチームからアプローチを開始することをお勧めします。

 

ABOUT ME
森川 友惠
森川 友惠
特定社会保険労務士
京都市下京区で開業しております。前職はコナミスポーツクラブで長年正社員として勤務しておりました。24年間の勤務で異動回数は12回。店舗勤務がその大半ですが、勤務地は長崎~東京まで様々な規模の店舗を担当しておりました。こちらでは、人と人の関係を良くする話、チームのコミュニケーションについてお話しします。
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