部下とのコミュニケーションのカギ
「何だかうまくいかないなぁ・・・・」
「何だか楽しくないな・・・・」
前職のスポーツクラブ時代、新たに支店を任され意気込んでいたにもかかわらず、なぜか不完全燃焼を感じた時の話です。
仕事はそれなりにでき、自分では頑張っているつもりで、勤務時間は過ぎるけど、仕事の充実感を感じるには何か足りなく、不完全燃焼でした。この言葉が頭の中でグルグル回っている日々がありました。
「どうしたらいい?」
自分がやれば、自分がもっと頑張れば、この状況は良くなる。当時の私はそんな答えしか出せていませんでした。
ある時、支店巡回に来た上司に「何か困っている事はない?」と言われ、ぼんやりと「何だかうまくいかない感じです・・・」と相談した際、間髪入れず言われた言葉があります。
「あんなぁ、「支店長」っていうのは只の『あだ名』だよ。「部長」だってただの『あだ名』。それに捕らわれず、自分らしく仕事をしろ。」
そう言われ、「支店長として見本を見せなきゃ!」「頑張る背中を見せるのだ!」と自己満足に突き進んで仕事をしていた自分に気がつきました。その、頑張っていると思っていた背中は、スタッフから見たら「いつも忙しくしている人」という姿でした。その姿は、以前自分も感じた事のある「忙しそうにしているから話しかけにくい人」そのものでした。
でも・・・・どうしたらいいのか?
「机の中にチョコ入れといて、お腹がすいたらそれを食べるんだよ~」
これは、休憩をとるなという事ではなく、せっかく昼時間に色んなスタッフが事務所に来るのに、その時にスタッフと話さないのはもったいない。というシンプルな教えでした。
自分が休憩時間としていた時間は、昼から出勤のスタッフがタイムカードを押す為に事務所にくる時間であり、朝出勤のスタッフが交代で休憩時間に入る時間でもありました。現場のスタッフは時間でシフトが決まっており、その隙間時間がとても貴重な時間だったのです。
昼出勤してきたスタッフに、「おはよう、今日は休館日明けで利用が多いだろうから、よろしく!」と声を掛けた際、「あ~、よかった、支店長に会えました。実は相談があって・・・」と。
スタジオの利用導線がうまくいかず、隣接しているマシンジム内が混雑し危ないので改善策を考えたが、もっとよい方法はないか?という相談でした。そのスタッフは、メモだと状況やイメージが伝わりにくいと考え、直接話しをしようと、少し時間に余裕持って出勤したとの事でした。
別の日にも、子供スクール運営の問題やイベント案など、ちょっとした会話から色々な事に気づき、支店運営の改善に繋がりました。そして・・・・・ある日もチョコを食べていたら「これ、コンビニで新作見つけました!」と、スタッフがチョコレートをくれて、それをきっかけに色々と話をしてくれるようになりました。それから、色んなスタッフと代わる代わるチョコを食べつつ、スタッフ自身の話や会員様の事、仕事の事など積み重ねていきました。
何だかうまくいかない・・・という答えは、現場にいるスタッフが持っていて、隙間時間のコミュニケーションがその多くのヒントとなり、また、重ねるコミュニケーションは支店雰囲気を明るくしていきました。その後、様々な取り組みが支店の成果に繋がり、私自身も多くの事を学びました。
私のガチガチになった固定概念の殻を砕き、近寄りがたい雰囲気を壊し、スタッフとのコミュニケーションのカギになったのは、チョコレートだったのです。多くの気づきや学びを部下のスタッフ達が与えてくれました。
人生のトランジション
人生には色々な転機、トランジションがあります。
人生で起こる大きな出来事から転機となるタイミングで、社会的な要因や、組織的な要因、個人的な要因などによって引き起こされ、キャリア形成に影響を与えます。そして、その変化はプラスに作用することもあれば、マイナスに作用することもあります。出来事そのものではなく、それをどう受け取り対処していくのかが重要で、この「4つのS」が、個人の転機を乗り越える能力に影響を与えているのです。
4S点検(リソースの点検)
- Situation 状況・・・原因や一時的かどうかなど状況を把握して理解する。
- Self 自己・・・自分の気持ちや興味、特性や価値観などを把握する。
- Support 支援・・・家族、周りの人、公的機関など外部支援の把握。
- Strategies 戦略・・・方向性や期限など行動計画を多面的に考える。
これらの視点を点検することで、キャリア危機やキャリア転換を乗り越え、より良いキャリア形成に向かうことが可能で、役立つアプローチです。
個人のキャリアだけでなく、組織の中で個人のキャリアがどのように発達していくのか、またその発達はトランジションの連続でありその課題をどう対処しクリアしていくのか、自分一人ではなかなか対処しきれない事が多いと思います。その時に、誰に相談するのか、話をするのか、それも重要だと考えます。一人では仕事はできません。
共に頑張る仲間をつくる為にも、自分の頭を柔らかくし、幸福度の高まる、最強アイテムをもっている事もポイントの一つですね。