ヒトとヒトの関りをメタポジションで学ぶ
「オブザーバーをしている時は、よくわかるんだけどなあ~」
キャリアコンサルタント資格取得の学びの場で、よく仲間と話していました。ロールプレイの練習中、自分の事で精一杯の中、オブザーバー担当からの気づきや指摘は、自分の視野を広げることができ多くの学びがありました。キャリアコンサルティング中の、声のトーンや、表情、言葉選びやしぐさなど、客観的な第三者視点で見てもらうことが、とても有益になるのです。
また、ロールプレイ時のオブザーバーを自分が行う場合は、A4用紙いっぱいに話のキーワードや、登場人物像、人物の気持ちなどを描き、「なぜ、そう思った?」「このクライエントが言うやりがいとは何?」など小さな「あれっ?」を発見していきます。また同時に、「このクライエントは話したいことが話せているのか?」「このキャリアコンサルタントはなぜそのような関りをしたのか?」などを客観的に考えます。客観的に見れるからこそ微妙な感情の変化に気づき、それを仲間でフィードバックすることでキャリアコンサルティングを深く知れる機会となりました。また、自分主語ではなくオブザーバーという役割だからこそ言える事もあり、気づき感じた点を自分にも言い聞かせつつ、お互いで指摘しあえる良い環境を作れます。
オブザーバーというメタポジションは、自分にとってもグループにとっても、その目的達成の為にも、非常に重要な関りなのではないでしょうか。
メタポジションとは・・・
『メタポジション』とは、心理学者が提唱した言葉で、自分という存在を第三者の視点で見ることで、新たな視点や理解を得ることを意味します。
- 第三者視点
自分自身を別の人物や観察者として捉えることで、感情や行動を客観的に評価できます。これにより、自己評価や自己意識が変化する事があります。
メタポジションをとることで、他人の立場や感情を理解しやすくなります。自己中心的な視点から抜け出し、共感や理解を深めることができます。
- 自己批判と他者批判
メタポジションを保つことで、自己批判的な視点を持つことができます。一方で、過度にメタポジションになりすぎると、他人を批判的に見ることになり自己中心的になるリスクもあります。
メタポジションは自己理解や他者理解を深める為の有用なツールであり、人々の視点を広げることに役立ちます。
また、グループワークにおいてメタポジションを活用することで、参加者は自己と他者の視点を切り替え、より深い洞察を得ることができます。グループワークの質や効率を向上させることもできます。これはセンシティブトレーニングです。
陽明学からの学び・・・
陽明学の中でも学びがありました。
教約の「詩を歌う」の書き下し文の一部ですが「毎日一班を順番に詩を歌わせ、その他の児童は皆、席に就き、姿勢をただして粛んで聴く」とあります。
これは、他の班の詩を聴くことで自分自身や自分の班を見つめ直すことができ、他の班へアドバイスをしながらそのアドバイスが自分へかえってくるのでより深い理解と成長に繋がるというものです。第三者視点での学びは、詩を歌っている時よりも大きく深い学びになり、自分自身の変容にも繋がります。私は、陽明学についてまだまだ理解は浅いのですが、「他へのアドバイスが自分へかえってくる」という解釈は、何をどのように言葉にするのかという点も踏まえて、非常に興味深くこの「詩を歌う」と「礼を習う」という回は陽明学への興味が深まった回でした。また、江戸や明治時代の人が学んだことを、この令和の時代に学ぶということは、とても面白いです。そして、その時代からセンシティブトレーニングがあるということは、重要なのは人でありその人間関係をもっともっと深く学ぶことが必要なのではないかと考えます。