上司と部下の信頼関係&キャリア形成のカギは窓にある
「自分の事は自分がよく知っている!」
人はそう思っている場合が多いのではないでしょうか。
しかし、例えば友人から「最近、あまり元気がない感じがするけど、何かあった?」と言われてはじめて、「えっ?そうかな、そういえば最近、あまりみんなと話していなかったな。」と気づくことがあります。「いつもと変わらず元気!」な自分のはずなのですが、心や頭の奥にある感情や思考が、いつもの自分じゃない行動として現れることがあります。他者に言われてはじめて気づく自分と出会うことがあるのです。
そして、その自分が知っている自分と、他者が知っている自分とのギャップでコミュニケーションエラーを起こし、人間関係が悪くなることがあるかもしれません。そこで、対人関係における気づきのモデルとして「ジョハリの窓」というものがあります。これは自己理解を深め、チーム内でのコミュニケーションや相互理解を促進することが可能であり、上司と部下でのコミュニケーションを図るうえでも効果があると言われています。
「ジョハリの窓」とは・・・
自己理解や対人関係の向上を目的として開発されたモデルで、自己認識の領域を4つの「窓」に分類します。これらの窓を意識することで、社員が自分の特性やスキルを理解し、仕事やキャリアの場でどう活かせるかを見極めるのに役立ちます。
「ジョハリの窓」の4つの領域
- ①開かれた窓:自分も他人も知っている領域
ここは、自分も他人も理解している自分の特徴やスキルです。コミュニケーションが円滑な職場では、この領域が広くなる傾向があり、同僚と信頼関係を築きやすくなります。
- ②隠された窓:自分は知っているが他人は知らない領域
自分が認識しているが他人には明かしていない特性やスキルの部分です。この領域を開示することで、他人との距離が縮まり、円滑なコミュニケーションが生まれやすくなります。
- ③盲点の窓:自分は知らないが他人は知っている領域
自分が気づいていない一方で、他人が見ている自分の特性です。フィードバックを通じて盲点を知ることで、自己理解を深め、スキルや行動の改善が促進されます。
- ④未知の窓:自分も他人も知らない領域
自分も他人も気づいていない未知の領域です。新しい挑戦や自己探求によってこの領域が解放され、新しい強みや可能性が見つかることもあります。
ジョハリの窓を知り、活用することで、コミュニケーションは円滑になり、互いの理解が深まることで信頼関係が強化されます。では「ジョハリの窓」をどのように上司と部下のコミュニケーションに応用できるのか?
■「開かれた窓」を拡げる為の自己開示
まずは、上司自身の窓を大きく開けましょう。お互いをよく理解し合うには、適切な自己開示が必要です。上司がまず自分の価値観や期待している役割について話すことで、部下も自然と自己開示しやすくなります。例えば、上司が強みだけでなく弱みやキャリアでの経験を共有することで、部下も気兼ねなく自分のことを伝えやすくなります。こうして「開かれた窓」が広がり、誤解や思い込みが減り信頼関係が強化されます。
■「隠された窓」を縮小するための安心感の醸成
部下が自分の悩みや改善点を伝えられるよう、心理的安全性が確保されていることが重要です。上司は部下に対してオープンな姿勢を示し、フィードバックに対して批判的にならずに受け入れることで、安心して話せる環境を作り出せます。例えば、定期的は1on1ミーティングなど設けることで、部下は「隠された窓」の情報を開示しやすくなり、自己成長に向けたアクションを取れるようになります。
■「盲点の窓」を知る為のフィードバック文化
自分が気づいていない課題や強みは、フィードバックを通じて理解が深まります。例えば、上司が部下に「最近のプロジェクトで特に貢献した点」と「改善が必要な点」を具体的に伝えると、部下は気づかなかった強みや課題を知り、成長につなげやすくなります。
また、部下から上司に対してフィードバックを行う、「逆フィードバック」を行うことで、上司の「盲点の窓」を減らすのに効果的です。部下からのフィードバックを受け入れることで、お互いが成長を促進し合える環境が生まれます。
■「未知の窓」を開放する新しい挑戦の機会
上司は部下に新しい役割やプロジェクトに挑戦する機会を提供し、未知の領域を探索するよう促すことが大切です。未知の領域での経験を通じて、部下は新しいスキルや強みに気付くことができ、キャリアの幅が広がります。上司も未知の領域に対する部下の反応や成長を観察することで、新たな評価材料を得られます。
ジョハリの窓を上司と部下のコミュニケーションに活かすことで、自己理解が深まり、相互の信頼関係が強化され、成長しやすい環境が生まれます。上司は部下に安心感と成長の機会を提供し、部下は自己開示とフィードバックを受け入れることで、お互いが成長を促進し合える関係を築いていきましょう。このプロセスを通じて、会社全体としても一体感が高まり、より良い組織文化が育まれていくのではないでしょうか。
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