「避けたい未来」より「実現したい未来」を語る
「このままだと、ああなるのかな~」
ふと自分のこれからを考えた時に頭をよぎる、逆ロールモデルの存在があります。それは、あたかも自分が同じようになると考え、不安や恐怖がストレスの原因となり、逆ロールモデルの行動を感情的に批判したり、消極的になったり、自己効力感も低下するようです。例えば、職場で尊敬できない上司がいて「ああなりたくない」という視点だけだと、批判的な行動となったり、信頼も築けず人間関係にも影響が出てくるかもしれません。
また、職場でも良く耳にする「今まではこうだった」という事もその一つではないでしょうか。私も以前、新しく配属された支店でスタッフがやりづらそうにしている業務があり「これを○○に変更してみてはどうか!」と提案した際に「今まではこれだったので」と即答されたことがあります。もちろん、色々と話をしましたが、どうも、「今までのやり方を変えてはいけない(やりづらいけど)」「変えたいけどどうしていいか分からない(だから変えない)」という別の思いも知りました。今まで・・・という逆ロールモデル思考が、スタッフたちのストレスになり、主体性を打ち消す事になっていたのかもしれません。
逆ロールモデルからの学びは何か?
逆ロールモデルは、自己成長を妨げるものではなく、適切に活用すれば貴重な学びの機会となります。「ああはなりたくない」から一歩進み「なぜそのような状況になったのか?」を冷静に分析し、逆ロールモデルの失敗の原因は何か?そこから自分が学べる教訓は何か?を明確化します。そして「一つの事例」として捉え、これを回避するために行動し、結果を変えていくことができるかもしれません。
ロールモデルは必要なのか?
ロールモデルとは、自分が目指したい姿や理想を体現している人物の事を指し、その人物の行動や考え方、生き方など、自分が目指す将来像を具体的にイメージするための重要な存在です。観察学習(モデリング)といわれるように、必ずしも直接経験しなくても、他者の行動をモデリング(観察)することで学習が成立し、自己効力感を高め、目標達成のための意欲を引き出す事につながります。
ロールモデルがいない場合は?
ロールモデルがいないから、キャリアの成功事例も分からず、道筋を描けない?そうでしょうか。具体的な目標の存在がいることで「自分もこうなれるかもしれない」という希望や努力の方向性を明確にしやすいかもしれません。ですが、見つからない場合でも、キャリア教育を効果的に進めることができます。
- 1)自己モデル化(セルフモデル)
自分自身の過去の経験を振り返り、成長した瞬間や成功体験を「未来の自分のロールモデル」として活用する方法です。これにより、自分の強みに気づき、更に強化や拡張する動機づけが得られます。
- 2)多様なストーリーに触れる
特定のロールモデルがいなくても、多様な人々のキャリアストーリーに触れることで学びが得られます。偉人の教えや本だけでなく、同年代のキャリアストーリーからヒントを得たり、自分は何気なく行っている工夫も、他者からすると困難を乗り越える大きな成功事例であり、まさしくロールモデルなのではないでしょうか。
- 3)自己探求を重視する
ロールモデルに頼る代わりに、自己を深める為の内省を重視することも有効で、これにより自分に合った目標や進むべき方向を明確にできます。
ロールモデルはキャリア教育において非常に役立つ存在ですが、重要なのは、学習者自身が自分のキャリアの目標や価値観を理解し、それに向けて主体的に動ける力を育むことです。ロールモデルがいない場合でも、多様な視点や自己探求のアプローチを通じて十分にキャリア教育を進められるのです。
大切なのは、「避けたい未来」だけに焦点をあて、自分自身でネガティブな未来を想像し、消極的になってしまうのではなく、「実現したい未来」に焦点を移し、自分のキャリアを主体的にデザインすることなのではないでしょうか。
「ああだったらいいな~」「こうだったら面白いな~」と考えると、何だか自分にスイッチが入る・・・そんなこともあるのではないでしょうか。
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