信じ、気づき、育てる部下との関わり方とは?

加点方式で見る・・・
スイミングスクールの毎月のテストでは、加点方式で子どもの泳ぎを見ていく。というのがベースにありました。ですが、どうしても実際のテストでは「あっ、キックが足りない」「最後まで水をかけてない」とついつい減点方式で見てしまう事がありました。そうなるとテスト後の子どもへの声掛けは「次はもう少しキック頑張ろうね」と、頑張った子供の気持ちは置き去りにして見当違いのフィードバックをしてしまいます。そして、子どもは「キックがダメだった」という言葉が残り、またダメだった・・・出来ないのは楽しくない・・・行きたくない・・・という負の連鎖が始まります。本当にそうだったのか???毎月のテストでのフィードバックは、子どもへの魔法の言葉になるのか?ナイフのように突き刺さる言葉になるのか?前職の時、そんな事を仲間と議論していた事を思い出しました。
「人は長所から成長する」
この言葉は、マイクロカウンセリングの創始者であるアイビィの言葉です。部下を育てるとき、私達はとかく「弱点」や「課題」に注目してしまいがちです。しかし本当に人を伸ばすのは、その人がすでに持っている「強み」、あるいは「強みになりかけているもの」なのかもしれません。
加えて、上司として忘れてはならないのが、「部下の成長を信じる」という視点です。そして実は、強みや長所というものは、最初から明確な形をしているわけではなく、日々の小さな成長に気づき、それを言葉にして伝える事、その積み重ねが、やがて本人の中で「これが自分の強みなのかもしれない」と自覚され、色濃く育っていくのではないでしょうか。
長所は“初めからある”のではなく“育つ”もの
私たちは「長所」と聞くと、突出した能力やスキルをイメージしがちです。しかし実際には、長所とは最初から完成されたものではないかもしれません。むしろ、本人もまだ気づいていない「芽」のような存在なのではないでしょうか。
たとえば、ある部下が毎朝必ずチームに挨拶をしているとします。些細なことに思えるかもしれませんが、それは周囲との信頼関係を築くうえでの大切な土台です。もし上司がそのことに気づき、「君の明るい挨拶、チームの雰囲気を和らげてくれてるね!」と声をかけたとしたら、それは本人の中で「自分の姿勢が誰かの役に立っているんだ!」という実感につながります。
このように、強みは行動の中に眠っています。そしてそれを言葉にして伝えることで、部下の中で“言霊”として残り、自覚と自信を持つきっかけになるのではないでしょうか。
小さな成長を見逃さず、言葉にする
部下の成長を信じるとは、「成果を出すまで何も言わない」ことではありません。むしろ、その前段階で、小さな変化や挑戦の一歩に気づき、それを丁寧に拾い上げることが重要なのです。
報告書の構成が少しわかりやすくなった、自分から意見を言おうとしていた、失敗のあとの切り替えが早くなった・・・・
こうした一つひとつの行動に対して、「よくなってきているよ」「その姿勢、いいね」と言葉にすることで、部下の内面に“積み上がるもの”ができます。それはやがて、「自分にもできることがある」「これが自分の武器になるかもしれない」という成長の土台になっていくのではないでしょうか。
信じるからこそ見えてくる可能性
そして、上司の役割は、成果の管理だけではありません。むしろ、「この人はもっと伸びる」「可能性がある」と信じるところから、すべてが始まるのかもしれません。
部下が失敗したときに、「まだ伸びしろがある」と捉えるか、「この程度か」と諦めるかで、その後の関係性は大きく変わります。信じて関われば、部下もそれに応えるように行動を変えていきます。そして、その行動の積み重ねこそが“本当の成長”なのではないでしょうか。
長所は見つけるものではなく、共に育てていくもの
「人は長所から成長する」という言葉には、「人の可能性を信じる」こと、「小さな変化に気づく」こと、そして「それを言葉にして届ける」ことの大切さが込められていると思います。
長所は、最初から光っていて皆が分かるものだけではないかもしれません。共に働く日々の中で、信じ、気づき、声をかける。その一つひとつの関わりが、やがて部下にとっての“強み”として形づくられていくのではないでしょうか。
ぜひ、目の前の部下の「小さな成長」に気づき、それを言葉にして伝えてみてください。その積み重ねが、部下自身の「成長実感」となり、自信へとつながっていくのではないでしょうか。
<ご相談やお問い合わせはこちらまで・・・>