失敗したから、見える景色がある
「失敗したくない。」
新しい仕事に挑戦する時。人前で話す時。初めての役割を任された時。
私たちは知らず知らずのうちに、「失敗しないこと」を目標にしているように思います。
もちろん、失敗は気持ちの良いものではなく、思い通りにいかなかった悔しさや、自分を責めてしまう気持ち、「自分には向いていないのではないか」など、落ち込んでしまう事もあるのではないでしょうか。
だからこそ、多くの人は失敗を避けようとするのかもしれません。
でも、本当に私たちは「失敗」そのものを恐れているのでしょうか。
もしかするとその恐れは、失敗したという事実ではなく、その先に起こるかもしれない出来事なのかもしれません。
「評価が下がるかもしれない。」
「信頼を失うかもしれない。」
「思い描いていたキャリアから外れてしまうかもしれない。」
そんな未来を想像するからこそ、一歩を踏み出すことをためらってしまうのではないでしょうか。
“失敗”は、挑戦した人だけが経験できる!?
ですが、自分のキャリアを振り返ってみても、人生は最初に描いた通りに進むことの方が、実は少ないように思います。むしろ、予定外の出来事や思い通りにいかなかった経験が、新しい出会いや新しい価値観を運んできてくれることがあります。
考えてみれば、“失敗”は、挑戦した人だけが経験できることです。
挑戦しなければ、失敗もしません。
今まで通りのやり方を続け、慣れた仕事だけを選び、安全な道だけを歩けば、大きく転ぶことはないかもしれません。ですが、その代わりに、新しい景色や新しい人に出会う機会も少なくなってしまいます。
そして、振り返ってみると、自分自身が大きく成長した時というのは、順風満帆だった時よりも、むしろ思い通りにいかなかった経験や、失敗して悩んだ時間の中にあったように感じます。
「あの時は本当に大変だった・・・」
「もう二度と経験したくない・・・」
そう思う出来事でも、時間が経って振り返ると、「その経験があったからこそ今の自分がいる!」と思えることがあります。そして、同時に、「色々経験してきたなぁ~」とその大変だった出来事も何だか懐かしくも思えるのです。
私は、いろんな方の前で話す機会や対話の機会で、その経験がとても生き、場を和ます話題にもなったり、自分を表現することにも繋がり、重宝しています。
また、自分の色や個性としてある、責任感や向上心、思いやりといった強みは、とても大切なものですが、その強みが「失敗してはいけない」「期待に応えなければならない」という「べき」に変わってしまうと、自分自身を追い込み、挑戦することが怖くなってしまうかもしれません。
しかし、本当に大切なのは、「失敗しないこと」ではないのではないでしょうか。
大切なのは、起きてしまった出来事をどう受け止め、どんな意味を見出し、これからの自分にどう活かしていくかということなのだと思うのです。
失敗という経験を、自分のキャリアの中にもう一度置き直し、
「この経験は、自分に何を残してくれただろう。」
「この出来事には、どんな意味があったのだろう。」
と問いかけながら、次の一歩につなげていく力が大切で、それが、心と頭の柔軟性であり、レジリエンスなのだと思います。
そして、失敗は私たちにたくさんの贈り物を残してくれます。
上手くいかなかったからこそ、相手の立場で考えるようになる。
悔しい思いをしたからこそ、努力している人を応援したくなる。
自分が迷い、立ち止まった経験があるからこそ、同じように悩んでいる人の気持ちに寄り添うことができる。
失敗を経験した人には、失敗した人にしか見えない景色があります。
それは、人への許容なのかもしれません。
挑戦する人を応援する気持ちかもしれません。
あるいは、完璧ではない自分も、完璧ではない相手も、そのまま受け止められる優しさなのかもしれません。
もし今、思い通りにいかないことや、心に引っかかっている“失敗”という事柄があるなら、少しだけ自分に問いかけてみてください。
「あの経験があったからこそ、今の自分に残っているものは何だろう。」
すぐに答えが見つからなくても、その問いを持ち続けること自体が、心と頭の柔軟体操なのだと思います。失敗を消そうとするのではなく、自分のキャリアの一部として受け止めてみる。そうすると、いつか振り返った時に気づくのかもしれません。
「あの失敗があったからこそ、今まで見えなかった景色が見えている。」
そして、その経験が自分のキャリアを色づける一つになり、色とりどり豊かなキャリアストーリーへとつながるのではないでしょうか。
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