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支えること、支えられること

城戸 貴子

「人に迷惑をかけたくない。」

そんな声を聴くことは少なくありません。

誰かに助けを求めることが苦手だったり、自分で何とかしなければならないと思ったり。責任感の強い人ほど、人に頼ることに遠慮を感じることがあるのかもしれません。

そして、私自身もそうでした。

できることなら自分で解決したい。

誰かの手を煩わせたくない。

出来ないと思われたくない。

そんな気持ちから、一人で抱え込んでしまうこともあります。

ですが、これまでのキャリアを振り返ると、うまくいかなかった時、失敗して落ち込んだ時、自信を失った時、そんな場面で私を支えてくれたのは、自分自身の力だけではなかったように思います。

何気ない一言をかけてくれた人。

黙って話を聴いてくれた人。

挑戦を応援してくれた人。

失敗を責めるのではなく、次の一歩を信じてくれた人。

振り返れば、たくさんの人との関わりの中で今の自分が形づくられていることに気づきます。

人は、一人で立ち直っているわけではないのかもしれません。誰かとのつながりの中で支えられ、少しずつ前を向いているのではないでしょうか。

“話を聴いてもらう”という事

そのプロセスで特に私が大切だと感じているのは、「話を聴いてもらう」という経験です。

仕事の悩みでも、キャリアの不安でも、人間関係の迷いでも、自分の頭の中だけで考えていると、思考は同じところをグルグル回り続けることがあります。

時には話が四方八方に広がり、自分でも何が問題なのか分からなくなることもあります。

そして、「どうにもならない。」「何から手を付けていいか分からない。」そんな状態に感じることがあるかもしれません。

ですが、不思議なことに、誰かに話を聴いてもらい、自分の思いを言葉にしていく中で、少しずつ景色が変わることがあります。

対話の中で、思いがけない自分の考えに気づくことがあります。自分で口にした言葉が、後になってジワジワと心に染み込んでくることもあります。

そして、話しているうちに、「本当はこう思っていたんだな。」「自分はこんなことを大切にしていたんだな。」と、自分自身を再発見することもあります。こうした時間は、自分自身を認めること、つまり自己承認につながるのではないでしょうか。

そして自己承認は、「もう少しやってみよう。」「もう一度挑戦してみよう。」という自己効力感を育ててくれます。私は、レジリエンスの土台はこうした小さな積み重ねの中にあるのだと思っています。

また、よく、「人と話をする機会はあっても、自分の話をただただ聴いてもらう経験は意外と少ない。」と言われます。

確かに、自分一人で考えることはできます。ですが、その思いを言葉にし、誰かに受け止めてもらうことで初めて、自分自身の考えや感情が整理され、次の行動へとつながっていくことがあります。

だからこそ、「聴いてもらう」という経験はとても大切なのだと思います。

そして、その機会をつくることは、リーダーや上司の大切な役割の一つかもしれません。また、対話を専門とするキャリアコンサルタントの役割でもあります。

誰かとの対話は、過去の自分を認め、今の自分を勇気づけ、未来の自分を創っていく、そんな力を持っているのだと思います。

そしてもう一つ感じることがあります。

それは、「支えられた経験」が、「支える力」になるということです。

失敗した経験がある人は、失敗した人の気持ちが分かる。

悩んだ経験がある人は、悩んでいる人に寄り添える。

立ち止まった経験がある人は、立ち止まっている人を待つことができる。

もし人生が順調なことばかりだったら、今とは違う自分だったかもしれません。

思い通りにいかなかった経験や、悔しかった経験、誰かに支えてもらった経験。

そうした出来事が、人への優しさや許容を育ててくれたように思います。だからこそ、“支えること”と“支えられること”は別々のものではないのではないでしょうか。

支えられた人が、今度は誰かを支え、受け取ったものを、次の誰かへ手渡していく。そんな循環が生まれているように感じます。

でも、「つながること」と「つなぐこと」は少し違いうように思います。つながることは、自分が誰かと関わることで、助けを求めることも、その一つです。

一方で、つなぐことは、自分が受け取った経験や学びを次の誰かへ渡していくこと。後輩への声掛けや、挑戦する人への応援かもしれません。自分の失敗談を語ることかもしれません。

そしてそれは、特別なことではなく、ほんの少しの関わりが、誰かの背中を押すこともあります。

様々な変化や困難の起こる中、しなやかな心を持ち、現実的楽観性や自己効力感を発揮できる力は、人とのつながりの中で育まれていくものなのだと思います。

だからこそ、もし今、自分が誰かに支えられていると感じるなら、そのことに感謝し、少し余裕があるなら、自分が受け取ったものを誰かへ手渡してみることなのかもしれません。

そして、これは大きなことでなくてもよく、

挨拶をする。

声をかける。

話を聴く。

応援する。

そんなちょっとした行動が、誰かの力になることがあります。

そして、その小さなつながりが、職場を、地域を、社会を少しずつ温かくしていくのだと思います。

人は、一人ではしなやかになれないのかもしれません。ですが、誰かに支えられた経験は、やがて誰かを支える力になります。

失敗も、迷いも、立ち止まった時間も、それらがあるからこそ、人とつながり、人をつなぐことができるのではないでしょうか。

そして、そんな循環を大切にしながら、これからも自分らしいキャリアを歩んでいきたいです。

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ABOUT ME
城戸 貴子
城戸 貴子
国家資格・2級キャリアコンサルティング技能士
九州女子短期大学体育科卒業。小学生から短大まで水泳とソフトボールに明け暮れる日々を送る。卒業後、大手スポーツクラブで勤務。退職後、キャリアコンサルタント国家資格、キャリアコンサルティング技能士2級取得。「自分らしく」「生き生きと働く」ライフキャリアやワークキャリアを考え、歩んでいけるお手伝いをします。自分も周りも幸せになる世界を目指して。趣味:音楽鑑賞・ライブ参戦・読書(本屋さんが大好き)・空を見るのが大好き 好きな言葉は「雨過天晴」自分のキーワード「挑戦する・感謝する・ワクワクする」
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