社会保険労務士森川事務所HP

経験を「安全文化」として伝え拡げる事で運営の改善を目指す

城戸 貴子

「事故対応のことを教えてほしいです。」

「事故が起きない事が一番だけど、リアルな現場を見たことが無くて・・・」

あるスタッフに声を掛けられました。

私の経験を伝え拡げる機会があり、改めて「安全」とは?を考えました。

数年前、成人の方がプールで遊泳中に溺れるという事故が起き、スタッフで救助した経験がありました。詳しい内容は避けますが、心臓マッサージとAEDを使用し、何とか一命をとりとめることができました。その方は現在もお元気でいらっしゃいます。

そこには色々な奇跡がありました。

午後の繁忙時間を前にした隙間時間で、ミーティングをしておりスタッフがたまたま揃っていました。

プール監視中のスタッフからトランシーバーを介し報告があり、みな一斉に動き出しました。

スタッフだけでなくお客様の協力もあり、プールの中から素早く引き上げる事が出来ました。

プールの現場に一番に駆け付けたスタッフは、救命救急研修の指導者でした。

上階にプールのある施設でしたが、様々なスタッフとお客様の協力があり、救急隊が素早く駆け付ける事が出来ました。

上階プールから救急車へ運ぶまで、要所要所にスタッフがいてスムーズに搬送できました。

その奇跡は、本当に奇跡が起きたのではなく、日々のちょっとした積み重ねや訓練が、力となり人命救助に繋がったのでした。

赤ちゃんからご年配の方まで、多くの方が利用されるプールです。「安全第一」が当たり前であり、その当たり前を日々続けるための「安全文化」が何よりも重要でした。

最近、前職の現場に縁があり、支店に伺った際にスタッフとミーティングをした時の事です。

過去の文章で事故の事は知っていたようですが、そのスタッフは支店の安全研修の指導者で、今後の運営に活かしたいと考えたようです。

「実際に聞くと壮絶ですね。自分にできるかな・・・」

たしかに、「知っている」と「できる」は違います。ですが、万が一の事態に備え、日々できることがたくさんあります。私は、そのスタッフと、今日から何ができるか?を一緒に考えました。見聞きした事を、自分事や、自分の職場に置き換え考えることはとても大切です。話しているうちに色々な対策が出てきました。そして、実際に運営していく人が、人を介して「安全文化」を伝えていき、拡げていく事もとても大切だと実感しています。

・日々の指導で、もっとオーバーアクションでお互い伝えるようにします。

・今日の話を、今度研修でスタッフに伝えます。そんな行動目標が出てきました。

そして、最後に質問しました。

「緊急事態や人命救助、安全活動で大切な事ってなんだかわかる?」

「素早い救助です。」

「もちろんそう。その素早い救助ができる為に大切な事は?」

「・・・・・?」

それは、「スタッフ同士のコミュニケーション(声掛け)」です。

一人では難しい事も、皆で協力して行う、その為にはお互いの声掛けがとにかく重要です。

AED持っていきます、救急車手配します、入り口確保します、お客様対応します、など、それぞれが適切に動くだけでなく、緊急事態だからこそ、お互いに声掛け、お互いを感じ、ベストな行動をする。そこから奇跡は生まれます。

文化の醸成

前職は人の命に関わるサービスを提供する企業であり「安全文化」が何よりも大切でした。皆さんの会社もそれぞれの文化があると思います。その組織文化を醸成し、サービスを提供するのは「人間」です。その人を育成せずして、組織文化を醸成したりサービスを提供することは不可能です。だからこそ、全ての企業に大切なのが育成文化であり、それは長期的な視点で育成に尽力するということではないでしょうか。

そして、コストのかからない育成文化の一つは、「声掛け」です。日々の声掛け(もちろん挨拶の後に)は、お互いの距離を縮め、お互いを知ることのできる、文化の醸成です。いつも声を掛け合っている事で、分からないときにすぐ聞ける、困ったときに頼れる、すぐにありがとうと言える環境です。

皆さんの会社は、どのような文化を醸成し、何を伝え、拡げていますか?

ABOUT ME
城戸 貴子
城戸 貴子
キャリアコンサルタント
九州女子短期大学体育科卒業。小学生から短大まで水泳とソフトボールに明け暮れる日々を送る。卒業後、大手スポーツクラブで勤務。退職後、キャリアコンサルタント国家資格取得。「自分らしく」「生き生きと働く」ライフキャリアやワークキャリアを考え、歩んでいけるお手伝いをします。自分も周りも幸せになる世界を目指して。趣味:音楽鑑賞・ライブ参戦・読書(本屋さんが大好き)・空を見るのが大好き 好きな言葉は「雨過天晴」自分のキーワード「挑戦する・感謝する・ワクワクする」
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