自分の譲れない価値観の一つを再発見
「城戸さんは、「声を掛ける、声を掛けられる」という点が、キャリアアンカーの一つなんだろうね~」と、先日、キャリアコンサルタント養成講習の講師の方から言われ、「確かに!」と私自身の再発見でした。
ティーチングアシスタントとしての仕事
私は、今年の春から、キャリアコンサルタント養成講習の「ティーチングアシスタント」という仕事もしています。養成講座の実習項目では、キャリアコンサルティングのロールプレイを行うのですが、その中のクライエント役として携わらせていただいております。受講生がキャリアコンサルタントとしての関りを学ぶため、ティーチングアシスタントは、クライアント役を数役準備しロールプレイに臨みます。
それぞれのクライエントの人物像は、自分自身の設定はもちろん、友人や知り合いなどで考えています。その人物像は、外的キャリアを作りこむのではなく、内的キャリアの部分を深く考え作ります。「〇〇さんはこうゆう所にこだわりがあるな」「○○さんはきっとこう考えるだろうな」と、その人物像が、どのように自分のキャリアを歩んできたかについての個人の主観であり、内なる思いややりがいを深く考えます。
そして、養成講座の実習に臨むのですが、クライエント役の設定を準備しても、キャリアコンサルタント(役)の関りで色々と変わってきます。キャリアコンサルタント(役)の方の表情や、身振り手振り、声のトーン、声色、問いかけの内容、沈黙・・・・で、その時のクライエント(役)の感情や受け答えが変わってくるのです。
もちろん、ティーチングアシスタントは受講生の方の学びを支える仕事であり、成長を促すサポートが必要なので、自分の感情も含めコントロールがとても重要です。ですが、こんなにも、関わる人や関わり方で違ってくるのか・・・・と改めて勉強になり、反面教師として学びが絶えません。
その中で、やはり人間です。色々なクライエント役の中にも、ちょこちょこ「きどあつこ」が出てくるのです。
「社員である以上、転勤があるのは十分理解しているけど、急であればある程一言あると頑張れるのに・・・・」「役職変更も一言あると前向きに考えられるのに・・・・」
「声を掛ける、掛けられる」という事は、誰にでも必要な事かもしれませんが、この一つが私の価値観の入り口であり、ゆずれない欲求だと再認識しました。面白い。
キャリアアンカー
キャリアアンカーとは、仕事を選択する際にどうしても譲れない「価値観」や「欲求」「コアコンピタンス(能力)」を指します。この概念は、組織心理学の生みの親とされるエドガー・シャインによって提唱されており、「キャリアとは生涯を通しての人間の生き方、表現である」と意訳されています。「アンカー」とは「錨」を意味しており、船をつなぎ留め安定させる為にあるように、キャリアアンカーとは生涯にわたり自分の働き方の軸になるものです。そして、軸であり職業生活での拠り所になるものです。
困難や職業上の選択に迫られた時の価値観の表現として、独自のものがあり、自分自身が理解する事で自己理解の深まりに加え、満足度の高いキャリアや働き方を選択する上で有利です。また、組織側の理解としては、適切な配置を通じて個々の社員のパフォーマンスを最大化する事ができ、組織としての成果も上がります。何よりも、働きずらさや生きずらさを感じた時に、自分の側に理解や受け入れてくれる人がいる事はとても幸せな事です。
キャリアアンカーの8分類
1、特定専門分野・職能別コアコンピタンス
自分の専門性を高めて活躍したいタイプ。高い技能を身につけることに魅力を感じる。スペシャリスト。
2、全般管理コアコンピタンス
出世欲が強く、経営管理に携わりたいと考えるタイプ。リーダーや管理職としての充実感を得る。組織全体にわたる様々な経験を求めるジェネラリスト。
3、自律・独立
集団行動に束縛されることが苦手で、自分の裁量で仕事を進めたいと考えるタイプ。
4、保障・安定
安定性を重視し、安心感を求めるタイプ。大企業や公務員での働き方を好む。リスクをとって多くを得るより安定を最も大切なこととする。
5、起業家的創造性
新しいことを生み出すことに楽しみを感じるタイプ。起業や独立の可能性を探求する。
6、純粋な挑戦
チャレンジングなこと、誰もしたことがないこと、難題を克服することに満足感を感じるタイプ。挑戦を人生のテーマとし、挑戦し続けること自体に価値を置く。
7、奉仕・社会貢献
人の役に立つ仕事に価値観を感じるタイプ。社会全体への貢献を求める。
8、生活様式
仕事とプライベートのバランスを重視するタイプ。柔軟な働き方を好む。最近増加傾向にあるアンカータイプ。
自分のキャリアアンカーを理解するには、自己分析であり、まずは自分自身について深く考えることです。そして、経験の振り返りや他者と話すこと。自分を深く知ることで他者を知り、理解でき、受け入れることができます。自分の大きな木にたくさんの枝葉があるような感覚です。だからこそ、他者と話すには、やはりキャリアコンサルタントが必要です。何気ない雑談ではなく、キャリアコンサルタントと話す事で、新たな視点や自分の奥底にある自分を再発見する事ができます。人生100年時代、自分のキャリアアンカーを洗練させてみませんか?