「なぜ続かないのか?」は「なぜ続けているのか?」を知る事で見えてくる
「働き続けている理由は何なのか?」
自分に問いかけてみる。
キャリアコンサルタントとして、色々な方と関わる中で「働き続ける」というキーワードが良く出てきます。「働き続けたいけど、この先どうしたら良いのか?」「働き続けることができず、仕事を辞めようかと・・」様々な理由や思い、考え、価値観があります。求職や退職、転職に理由があるように、働き続けるにも理由があります。その点を、自分のこれまでの経験を介して考えてみました。
一番に出てきたことは、「この仕事が好きだから」です。現在は、別の仕事をしており正確には「この仕事」は過去の仕事ですが、「好きだから」は現在進行形です。私の場合は好きだけど転職した理由があります。(それが何なのか?は別の機会に)
前職では、スポーツクラブでの支店運営全般に加え、子供水泳指導やイベント、大人プログラムの指導や人材育成、赤ちゃんからご年配の方まで幅広い方々と関わり、日々を過ごしていました。スタッフは学生アルバイトから80歳代の方まで、この関わりも年齢だけではなく、様々な個性のある方と関わってきました。その多くの人との関りが好きで、自分の成果以上に、子ども達が泳げるようになることやスタッフの成長を感じられることが、自分の仕事をする意味であり価値観、かつモチベーションでありました。
そして、二つ目の理由として「この仕事は社会の為であり人々の幸せに繋がっている」と感じていました。子ども達は両親以外の大人や毎日通う学校の友達とは違う価値観の人と関りを持ち多くを学びます。大人の会員様は日々スポーツクラブへ通う事で、ストレス発散や健康な身体を作る為、ご年配の方は家から外へ出る理由であり、お互いの生存確認とおしゃべりをする事でのストレス発散と認知予防に繋がります。それはその為の仕事であり存在意義だと考えていました。
これは数十年働いているから・・・・という事ではなく、皆様の会社でも、今いるスタッフの方々、仲間の皆様と「今自分がここで働いている理由」ということを、それぞれの目線で言葉にすることで、改めて「自分達が働き続けている理由」をかみしめる事ができ、それこそがこれからの定着に繋がるのではないでしょうか。
親に進められたからだとしても、たまたま採用されたからだとしても、最終的に動いて行動したのは自分自身ですから、そこに何か必ず理由があるのです。そして、他者の意見を聴くことで改めて気づき、再確認することもあります。「なぜ続かないのか?」は「なぜ続けているのか?」を知る事で見えてくるかもしれません。
二要因理論から考える
アメリカの臨床心理学者であるハーズバーグが提唱し、モチベーションの研究を通じて導き出された、「二要因理論」をぜひ、参考にされてください。
二要因理論とは、仕事において満足する要因と不満足になる要因を明確にした理論です。
「衛生要因」
・仕事における働きやすさを作る環境要因
・給与・人間関係・職場環境・労働条件・職場の方針・管理方法など
衛生要因が満たされないと不満足になりますが、満たされてもやる気(モチベーション)には直接的には繋がりません。
「動機付け要因」
・仕事における働きがいを作る意欲要因
・達成感・承認・評価・責任(権限委譲)・成長実感・仕事そのものの興味深さなど
動機付け要因は、満たされなくても不満足にはならないが、満たされるとやりがい(モチベーション)に繋がる項目です。
衛生要因と動機付け要因は互いを補う関係にもあり、両方をバランスよく充実させることが重要です。そして、二要因理論を活用して社員教育の問題点を特定し、それに対する改善策を実施することで、従業員の満足度とモチベーションを高めることが期待できます。