言葉の背景にはどのような世界があるのか?
「自分がやるしかない」
やるしかない、〇〇しかない、と聴くと、その言葉にはネガティブな印象が感じられるのではないでしょうか。ですが、その言葉を話している方の表情は明るく、目力が強く、その言葉には強い意志を感じました。
この「やるしかない」という言葉には、何だか色々な思いがあるように感じます。
もしかしたら・・・今まで色々と悩んだ後、「やるぞ!」という決意から出てきた言葉かもしれません。もしかしたら・・・。そんな事を頭の隅に置きながら、「やるしかない」と言葉にされた思いを一つ一つ聴くことで、自らの言葉で自分の思いや価値観を少しずつ言語化され、その人をより知ることができた。そのようなケースがありました。
言葉に込められた思いを言語化することで、その場の表面的なやり取りにとどまらず、相手や自分自身が何を本当に感じ、求めているのかがより深く理解できるようになります。これは、面談などのケースだけではなく、例えば、会議や目標設定の際に、ただの数字や業務目標だけでなく、その裏にある「なぜこの目標を目指すのか」「どのような意義がるのか」といった意図を明らかにすることで、相手がどんな価値観やビジョンを持っているのかが見えてきます。
部下は、上司が現実をしっかりと捉えつつ、未来を描く言葉にワクワクし、いまやっている事は間違いないと実感し、共に前を見て進むことができるのではないでしょうか。
また、言葉の背景を明確にすることで、誤解や意図のすれ違いを防ぐ効果もあります。思いを明らかにすることにより、双方が同じ認識を共有しやすくなり、話し合いや議論がより建設的で実りあるものになります。そして、最終的には、言葉に表れない部分まで伝え合うことで、信頼関係が深まり、より共感や理解のあるコミュニケーションが可能になるのです。
意図や感情がより具体的かつ正確に伝わりやすくするためには・・・・
・感情や価値観を伝える
ただの情報ではなく、その言葉に込められた感情や価値観も一緒に伝える事が大切です。例えば、「これを重要だと感じている理由」や「この状況で何を感じているか」を付け加えると、相手にとって理解が深まります。
・背景や理由を明らかにする
なぜその思いを持っているのか、背景や経験も共有することで、言葉に信頼性と具体性が生まれます。特に、過去の経験や、特定の状況に至るまでの経緯などを説明することで、相手はよりその思いを共感しやすくなります。
・相手の視点を意識する
自分が伝えたいことと同時に、相手がどう感じるか、どのように受け取るかも考えることが大切です。相手が理解しやすい言葉や例えを用いることで、より分かりやすく伝わり、共感も生まれます。また、相手が話を聴ける状況か、話せる状況かも重要な視点ではないでしょうか。
相談場面ではもちろんですが、部下との会話の中でも、「なぜそう言うのかな?」「どうしてそう考えるのだろう?」と言葉の背景には何があるのか?を知ろうとすることで、部下は自分の話を聴いてくれる、自分の事を知ろうとしてくれていると、自分へ関心を向けられていることは承認欲求を満たし、信頼関係の構築にも繋がるのではないでしょうか。
「〇〇しかない、その言葉にはどのような思いがあるのですか?」
その人には、どのような世界が広がっているのでしょうか。
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