自分の呼び名からキャリアをみる

「呼ばれたい名前に変更してくださいね!」
オンラインセミナーの開始の際に、よくこのような声掛けをされるのですが、そんな時は決まって「あつ」と記載し、「あつさんって呼んでください!」と声をかけます。参加メンバーを見ても様々で、ご自分の名前と全く違う呼び名の方もいて、それぞれに拘りや意味があるんだな、ぜひ聴いてみたいなあ!と思う事が多々あります。
この「呼び名」一つをとっても、その人の人生を垣間見るようでとても面白く、また、これからの参加するセミナー内での関わり方も、少し変わってくる感じがしています。
皆さんの呼び名は何ですか?
実は〇〇って呼んで欲しいな、という呼び名はありますか?
呼び名
学生時代はソフトボール部の関係からグランドネームで「あつ」、社会人になってから「きど」、その後は役割や役職の変化に伴い「きどリーダー」「きどマネジャー」「きど支店長」「きどさん」など、名前の呼ばれ方は色々変化してきました。考えてみると、その一つひとつには物語があり、改めて思い出すとその時代の自分に会うことができ、これも一つの自己理解であり、大切なキャリアストーリーの一ページになるのではないでしょうか。
また、「何と呼ばれたら嬉しいか?」という視点もあるのではないでしょうか。
私は、自分の名前の漢字が読みにくい事もあり、昔は病院で「しろとたかこさん」と呼ばれたり、今でもほぼ「きどたかこさん」と読まれます。祖父が名付けてくれた名前で、私は読みにくさも含め大好きな名前なのですが、読みにくいからこそ自己紹介で1つコミュニケーションが取れる利点もあると考えています。その為、「あつこ」という部分で読んでもらう事に嬉しさを感じます。
また、呼び名は相手との関係性や関係構築にも大きく関わってくるのではないでしょうか。
職務上や職場環境にもより様々だと思いますが、私自身呼び名で救われたなという経験があります。
仕事で経験を重ねる中、役職が付き、支店や部下育成を行う上で「○○しなきゃいけない!」「支店長としてこうあるべきだ!」ということに自分自身を鎖でがんじがらめにしていた時期があります。そうなると、支店運営も周りのスタッフとの関係も、自分自身も上手くいかず、逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。そして、その時期にある支店へ転勤になり、出会ったスタッフからフランクに「あっちゃん!」と呼ばれ、びっくりすると同時にとても嬉しく、その瞬間に色々な鎖がほどける感覚を覚えています。規模が小さな支店だからこその距離感と、そのスタッフの良い意味で垣根のないコミュニケーションは、当時の私を自由にしてくれたのです。
もしかしたら「肩肘張らずに楽しく仕事をしようよ!」と言ってくれていたのかもしれません、もしくは環境に早く溶け込めるようにしてくれていたのかも、もしくはそんな事は全くなく、奇跡的な出会いだったのかもしれません。一つ確かな事は、そのスタッフ二人に感謝と、年齢は大きく違いますが、かけがえのない人生の友だという事です。
ただの呼び名ですが、されど呼び名です。私は、その呼び名で肯定的なフィードバックをもらい、改めて自分を見つめ直すことができ、前向きになり、その後の数々の経験に繋がっています。自分の呼び名を振り返ることで、様々な事を振り返り、その時があるからこそ今があると思う事ができるのかもしれません。そして、自己理解の道筋は本当に色々あるのだと、改めて気づかされました。
キャリア自己概念とは、個人が自分自身をどのように感じているか、自分の価値観、興味、能力がいかなるものかということについて、個人が主観的に形成してきた自己についての概念(主観的自己)と、他者からの客観的なフィードバックに基づき形成されてきた概念(客観的自己)が個人の経験を統合して構築されていく概念の事です。この客観的フィードバックには、肯定的フィードバックと否定的フィードバックがあり、かつ、多面的な構造から成り立っていると言われています。そのギャップに悩んだり、歪みを上手く修正できず迷ったりする中、自己を知るちょっとしたキッカケが、呼び名やあだ名だったりするのかもしれません。
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