リーダーに必要な”はげまし”の聴き方

「たった一言の『うん、うん』で、つい話しすぎてしまった・・・」そんな経験はありませんか?」
部下やメンバーとの対話において、「聴く力」が求められる場面は多いものです。特にリーダーやマネージャーの立場では、1on1ミーティングや面談の中で、部下の本音や課題を引き出す力が問われます。その際に役立つのが、カウンセリングの応答技法のひとつである「はげまし」です。
「はげまし」と聞くと、「頑張れ!」「大丈夫!」といった積極的な励ましの言葉をイメージするかもしれません。しかし、ここでいう「はげまし」とは、相手が話しやすいように最小限の言葉や態度で促す技法です。アドバイスや評価ではなく、相手の主体的な語りを尊重し、話しやすい場を作るために用いられます。
「最小限のはげまし」とは?
“はげまし”には、言語と非言語があります
□言語的なはげまし
「うん」「そうなんだ」「なるほど」「それで、どうしたんですか?」
「続けてもらっていい?」「他にはどんなことがありましたか?」
「それって、どう感じたの?」
□非言語的なはげまし
頷く、穏やかな微笑み、前傾姿勢で耳を傾ける
相手の方に身体を向ける、目を見て聞く
アイコンタクトを意識的に取る
特に「身体の向き」は、相手への関心や敬意を示す重要なサインではないでしょうか。
集団の場や会議、研修などで、話している人に身体を向けず、耳だけを向けたり視線も合わせない人を見かけることがあります。こうした態度は、たとえ本人に悪気がなくても、話している側からは「関心がない」「仕方なく聞いている」という印象を与えてしまいがちです。
対面では、身体全体を相手に向け、顔や視線もきちんと合わせるだけで、「あなたの話をちゃんと聴いていますよ」というメッセージが自然と伝わります。逆に身体の向きがずれていたり、背もたれに深くもたれたまま耳だけを向けていると、無意識のうちに相手を遠ざけることになりかねません。
こうした態度は特に、部下との1on1や、部会・会議の場でも重要です。リーダーがしっかりと身体を向け、聴く姿勢を見せることで、場の空気が変わり、他のメンバーも「聴く姿勢」を模範として学んでいきます。
そして、その「聴く姿勢」は日々の業務の中でも影響を与えているかもしれません。皆さんは部下から話しかけられた時に、パソコンの手を止め、部下の方に身体の向きを変え、話を聴けているでしょうか?
対面とオンラインでの違いと工夫
対面では、こうした非言語の「はげまし」が自然に伝わりやすく、相手の表情や呼吸、声のトーンから感情の変化も感じ取りやすいという利点があります。沈黙も「考えてくれているんだな」と受け止められやすく、対話の中での必要な「間」になるのかもしれません。
しかしオンラインでは、頷きや表情が伝わりにくく、無言だと「聞いていないのでは?」「通信が途切れた?」と不安を与えます。また、カメラに身体を向けずに横を向いて聴くと、相手からは「興味がない」「他の作業をしている?」と思われることもあるかもしれません。パソコンの画面だからこそ、相手の目線や表情がとても気になります・・・・
オンラインでは、普段よりも大きめの頷きや、意識した表情の変化、カメラに向かって身体ごと正面を向けることが大切です。さらに、時折「そうなんですね」「なるほど」と短い相槌を加えることで、「ちゃんと聴いている」という安心感を与えられるのではないでしょうか。
リーダーが意識すべき「はげまし」の姿勢
リーダーやマネージャーは、ついアドバイスや指導に走りがちになるかもしれません。しかし、最小限のはげましを意識することで、部下が自ら考え、感じていることを自発的に話しやすくなります。その結果、本音や潜在的な課題に気づき、信頼関係の構築にもつながるのではないでしょうか。
「はげまし」は相手を急かすものではなく、「もっと話していいよ」「聴いているよ」というサインなのです。対面でもオンラインでも、相手のペースに合わせ、しっかりと向き合う姿勢を持つことが、リーダーとしての大切な資質なのではないでしょうか。
ぜひ、今日から「身体の向き」「表情」「頷き」などの非言語のはげましを意識し、対話の質を高めていきましょう。話を聴く力こそが、信頼されるリーダーの第一歩ではないでしょうか。
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