「でもでも星人」が自分の可能性を奪っているかもしれない

「でもさ~」「だってさ~」
この言葉が壁やハードルになり、否定の渦に飲み込まれてしまう・・・という事がありませんか。また、職場や家庭でも、友人との会話でも、必ずと言っていいほど否定から入る“否定星人”になっている人はいませんか?
新しいアイデアや挑戦の話になっても、「でも予算がないでしょ~」「でもどうせうまくいかないよ~」そんな風に、まず否定する言葉が口をついて出る“でもでも星人”。また、自分の考えや気持ちを口にする前に「きっと怒られるから・・・」「どうせ通らないし・・・」と、最初から諦めてしまう“私なんて星人”もいます。
一見、ただの「口癖」や「慎重さ」のように見えるかもしれませんが、こうした否定的な認知の積み重ねが、自分の可能性をどんどん狭めてしまっているかもしれません。
否定的な認知が生まれる背景とは?
1. 自己防衛のためのクセ
例えば、ある職場の会議で、新しい企画の提案が出たとき。
Aさんは「でもさ~、そんなのやっても無理だよ」と言います。そのAさんの発した言葉の背景には過去に「頑張ったのに評価されなかった」「提案が却下された」という経験が何度もあり、「期待するほど傷つく」という学びから、否定的なスタンスを取るようになったのかもしれません。否定しておけば、失望しなくて済む・・・そのような捉え方が、自分を守る術として、否定がクセになっている場合があります。
2. 今までの経験や環境
Bさんは子どもの頃から「なんでそんなことするの!」「無駄なことはやめなさい」とよく怒られていて、そのため、どんなことも「どうせ否定される」「やっても無駄」と思い、大人になっても、最初から「きっと叱られる・・・」「言っても無駄だ・・・」と考えるようになったのかもしれません。過去の体験や環境が、「自分は否定される存在」「自分の意見は価値がない」と思い込ませてしまうことがあるのです。
3. 自己肯定感の低さ
自己肯定感が低いと、「自分の意見なんてどうせ間違ってる・・・」「できるわけない・・・」と思い込みやすくなります。また、否定から入ることで「リスクを取らずに済む」「間違いを指摘されずに済む」という安心感を得ようとしているのかもしれません。
否定的な認知が「自分の可能性を狭める」理由とは?
〇 行動のチャンスを自ら捨ててしまう
「でもさ~」が口癖になっていると、挑戦する前から「無理」と決めつけ、目の前にあるチャンスを自ら放棄してしまいます。たとえば、リーダーに推薦されても「無理無理、私なんかにできるわけがない」と断ってしまう。でも実は、やってみたら案外できたかもしれない。
その「やってみたら分かること」を自ら捨ててしまうことで、成長の機会を逃してしまうのです。
〇「できる自分」を想像できなくなる
否定的な認知が続くと、「できる自分」「変わる自分」をイメージする力が弱くなります。「どうせできない」と思い込むことで、脳は「やっぱり無理だった」と裏付けるように行動し、ますます自己否定が強まります。その結果、自分の限界を自分で決めてしまい、本来持っているはずの力や可能性に、自分自身でフタをしてしまうのです。
〇周囲からの信頼や期待も遠ざける
否定的な人は、「どうせ否定される」「どうせやらない」と周囲に見なされるようになり、チャンスや役割が巡ってこなくなります。そうすると「やっぱり自分はダメなんだ」と感じる機会が増え、自己肯定感はますます低下してしまい、否定から生まれる悪循環になります。
否定のクセを脱する4つのアプローチ
- ■「事実」と「解釈」を分ける
「きっと叱られる」と思ったとき、「本当にそうなのか?」と問い直してみましょう。それは事実ではなく“解釈”に過ぎないと気づけることが、認知の歪みを正す第一歩かもしれません。
- ■ 感情を素直に伝える
「でもさ~」の裏には「不安」「自信のなさ」「怖さ」があります。「でもさ~、実は自信がなくて怖いんだよね・・・」と正直に言葉にしてみることです。否定ではなく「感情」で伝えることで、コミュニケーションは柔らかく変わるのではないでしょうか。
■ポジティブな質問を投げかける
「でも」「無理」ではなく、「どうしたらできると思う?」「もしできたら何が変わる?」と、未来に向けた質問を自分にも相手にも投げかけてみましょう。否定的な思考が、自然と「解決」や「可能性」を探る思考に変わっていきます。そのように捉えることで、どんなプラスやどんなマイナスがあるのか、両面から考えられるのではないでしょうか。
- ■小さな成功体験を積む
いきなりポジティブにはなれないかもしれません。だからこそ、まずは「言ってみた!」「やってみた!」だけでもいいのです。その結果、「意外と受け入れてもらえた」「できたかもしれない」という小さな成功を積み重ねることで、「自分にもできるかも」という感覚が芽生え、自己肯定感が育ちます。
「でもさ~」と否定することで守ってきた自分。けれど、そのままでは、本当の自分の力や可能性に出会うことはできないのではないでしょうか。
もし、いつもの「でもさ~」が口をついて出そうになったら、「でも、もしできたとしたら?」と問いかけてみませんか。別の視点からも捉えることで、悪循環を断ち切れるかもしれません。
そして、小さな一歩が、自分の未来の選択肢を増やし周囲との関係を柔らかくし、何より、自分を信じる力を取り戻すきっかけになるのです。
否定のクセを手放した先に、きっとまだ見ぬ自分の可能性が待っているのではないでしょうか。
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