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想像力は“心の筋肉”

城戸 貴子

「部下の気持ちがいまいち分からない・・・」

「表情が曇っているけど、何を考えているのか見えてこない・・・」

毎週やっている1on1で、そんな経験はありませんか?最近では多くの企業が、対話重視・心理的安全性 を掲げ、1on1の制度化や色々な取り組みがあるようです。ですが、その本質を理解しないまま、「会社の方針だから」と形だけで実施してしまうと、逆に関係性がぎこちなくなってしまうことがあるかもしれません。

「どう話せばいいかわからない・・・」

「何を聞いても“特にありません”と返ってくる・・・」

「部下の本音が見えない・・・」と声が聞こえてきます。

「相手の立場を想像していますか?」

想像力と聞くと、芸術やクリエイティブの世界の話に思われるかもしれませんが、実際には職場の人間関係やチーム運営、リーダーシップにも深く関わっているのです。

ですが残念なことに、今の社会ではその「想像力」が弱まりがちのようです。情報は早く量が多く、コミュニケーションは短く、効率と成果が何よりも重視される毎日・・・ゆっくりと相手の立場を思い描く時間も余白も、なかなか取れないのではないでしょうか。

更にもう一つ、見逃せない要因が、「どうせ分かり合えない」という世代間バイアスです。

「若い世代は何を考えているか分からない」

「上の世代にはどうせ通じない」

「価値観が違うんだから、理解しようとしてもムダだ」

そんな思い込みが、無意識のうちに想像すること自体を止めてしまっているかもしれません。ですが、私たちが分かり合おうとしているのは、“通りすがりの誰か”ではなく、目の前のデスクに座る部下、同じチームで働く仲間との関係です。キャリアを継続していく中で、そうした日々の信頼関係こそが土台となり、安心感や挑戦を生む場になるのではないでしょうか。

「世代が違うから理解できない」ではなく、世代が違うからこそ、想像し、理解しようとすることに価値があると思います。そこへ尽力できる社会人が増えることこそ、結果的に世の中をもっと幸せにする力になるのではないでしょうか。

そして、その力の「想像力」は、自分のキャリアを歩き続ける為の筋肉の一つである、“心の筋肉”なのではないでしょか。筋肉ですからトレーニングしなければ衰えていくし、逆に意識すれば鍛えられるのです。その鍛え方としては、

「この人は今、何を感じているんだろう?」

「自分だったら、こう言われたときどう思うか?」

「この沈黙には、どんな意味があるんだろう?」

と、相手の立場を思い描き考えてみる事で、特別なスキルではありません。でも、使わなければ鈍くなり、視野も狭くなっていきます。想像力は、心と心をつなぐ“見えない橋”のようなものかもしれません。

心と心をつなぐ橋は一方通行になっていませんか?

・部下の状況を“把握したい

・目標達成の“進捗を確認したい

・不満や問題を“早期に察知したい

これらはすべて、上司側の目的です。でも、部下はこう感じているかもしれません。

・「本音を言っても評価に響くだけじゃないか」

・「意見しても変わらないし…」

・「聞かれたことに答えておけばいいか」

だからこそ必要なのが、想像力なのではないでしょうか。目の前の言葉の奥にある思いに、気づけるかどうか?沈黙に込められた「言えない気持ち」に、寄り添えるかどうか?そして、自分とはまったく違う価値観でこの職場を見ている部下がいることを、心から理解しようとする姿勢があるかどうか?そもそも、部下の話をゆっくり聴く時間をつくれているだろうか?

想像力は「自分を見る力」にもつながります。他者の理解だけでなく、まずは自分自身への理解、“内省”が想像力のトレーニングの一歩なのです。日々少しずつ鍛えていけば、1on1の質も、部下との関係も、そして上司としての在り方も変わっていくのではないでしょうか。

想像力があると、会話の空気が変わります、信頼が芽生えます、そして、「うまく話せたかどうか」よりも、「向き合えたかどうか」が大事だと気づけます。

あなたは今日、誰の気持ちを想像してみますか?

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ABOUT ME
城戸 貴子
城戸 貴子
キャリアコンサルタント
九州女子短期大学体育科卒業。小学生から短大まで水泳とソフトボールに明け暮れる日々を送る。卒業後、大手スポーツクラブで勤務。退職後、キャリアコンサルタント国家資格取得。「自分らしく」「生き生きと働く」ライフキャリアやワークキャリアを考え、歩んでいけるお手伝いをします。自分も周りも幸せになる世界を目指して。趣味:音楽鑑賞・ライブ参戦・読書(本屋さんが大好き)・空を見るのが大好き 好きな言葉は「雨過天晴」自分のキーワード「挑戦する・感謝する・ワクワクする」
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