難題こそ闘志を燃やす彼女のリーダーの極意
「これやるのか・・・大変そうだね・・・」
「これから大変なことになりそうだね・・・」
そんな会話が聞こえてくると、
「『大変』っていう漢字は、『大きく』『変わる』って書くでしょ!いま変化できるってことだよ、頑張ろう!」
フロントリーダーの彼女はそう言って、スタッフを導いていました。
前職のスポーツクラブでは、季節ごとのキャンペーンや、イベント、システム変更など、1年を通して様々な事が行われていました。その多くは会員様に関わる事で、受付や案内、手続きなどは、ほぼフロントで行われており、フロントスタッフは日々の情報アップデートが重要でした。また、オンライン化が進みフロントの作業効率の改善はありましたが、やはりフロントで「直接聞きたい」という会員様が多くいらっしゃるのが現実でした。
彼女のいる支店は、支店規模が大きく毎日の利用者も多く、一般の方も利用される為、業務の幅だけでなくトラブルも多く起こっていました。だからこそ、彼女のポジティブで前向きな指示は、スタッフを活気づけ、支店全体も盛り上げていました。
彼女に、何度助けられたかわかりません。
彼女の働き方にリーダーの極意がある
・まず自分が試す、やってみる(特に新商品は必ず試す)
・同じようにスタッフにも試す機会をつくる(セールストーク含め作戦を練る)
・情報のアップデートはフロント入り口のドアに集約(新しい情報はドア、過去の情報はノートと分けて効率を図る)
・重要案件はミニミーティングでカバー(2~3人を集めて直接言葉で伝える)
・全国水平展開の案件は「自支店ではどうか?」と自支店でどうか?と落とし込んで考える
・「〇〇さんにいいかも」「○○さんはきっと好きだよ」と商品と会員様を結び付けて考える(とにかく会員様の事を良く知っている)
・出勤してきたスタッフに「今回のキャンペーンで分からない事ない?」と一人一人聞く(コミュニケーションをこまめにとる)
・自分が面白がる(難しい事こそやってやる!と闘志がわくのです)
共に仕事をしたのは15年程前ですが、リーダーとしての姿勢やスタッフとの関り方、在り方は「リーダー論」として、皆様に事細かく伝えたい内容でもあります。
そして・・・
「ジョブ・クラフティング」の働き方
ジョブ・クラフティングとは、「従業員一人ひとりが、仕事に対する認知や行動を、自ら主体的に修正していくことで、退屈な作業ややらされ感のある業務を「やりがいのあるもの」へ変容させる行動のこと」をいいます。自分の仕事を捉え直してみたり、やり方や手続きを変えたりするなど、役割や環境を変えてみる行動です。
やりがいを探すのではなく、創り出すことが重要だといいます。
このジョブ・クラフティング行動によって、ネガティブな仕事も興味ややりがいのある仕事に変容させ、幸福感や職場満足、モチベーションを生み出すことが可能になります。
では、どのようにして「ジョブ・クラフティング行動」となるのか?
最初のポイントとしてあるのは、やはり「コミュニケーション」です。
それはそうだろう・・・と言われず、コミュニケーションの「活発さ」と「信頼性」について、今一度、一緒に考えてみましょう。
彼女はよく、「集合!」と皆に声を掛け、ミニミーティング(情報共有や確認)をしていました。もちろん、現場の状況確認と「ちょっとみんなを集めるので、電話が鳴ったらお願いします」と他の周りのスタッフへの根回しは欠かさず行っていました。ミニミーティングの効果は、現場にメリハリを生み、直接伝える為、理解不足気味のスタッフにはすぐフォローもできるのです。
そして、コミュニケーションが活発でも、行きかう情報が信頼できるものなのか?が大切。ただ、流れてきた情報をそのまま伝えるような事や、ぼんやりと怪しい内容だと、スタッフは安心して現場でお客様と向き合うことはできません。その情報を自分事としてスタッフが腹落ちしているか?そして、なぜ?何のために?をしっかり共有するなど、行き交うコミュニケーション(情報)の質にも、目や耳や心を傾ける必要があります。彼女は、その情報の奥の奥まで考え、分からなかったら本社まで問い合わせ、まずは自分自身が納得するからこそ、自信を持って皆へ伝えることができたのです。
もちろん、一方的なコミュニケーションではなく、スタッフとの相互のコミュニケーションが重要です。
コミュニケーションが大事。文字では理解していますが、その言葉の奥は深い。
よく「やりがいを持って働いてほしいのだけど。」と言われますが、その前に、目の前の部下とのコミュニケーションを深く見直してみる事が、かなり重要なのではないでしょうか。
今でも、「これ大変だな・・・」と思うと、彼女の言葉を思い出し、「そっか、今、自分は大きく変わろうとしている時だな。」と考え、前を向きます。やりがいは自分で生み出す!