人は、“見てもらえている”と感じた時に動き出す
5月に入り、新しい環境や新しいメンバーとの関係性も、少しずつ動き始める頃ではないでしょうか。
4月は、お互いに緊張感もあり、「まずは頑張ろう!」と走り続けていた人も多かったかもしれません。しかし5月になると、少し慣れてきた反面、チームの空気や人間関係の“温度差”も見え始めるのではないでしょうか。
そんな時期だからこそ、改めて大切になるのが“日常の関わり”です。
厚生労働省のメンタルヘルスに関するポータルサイト「こころの耳」では、ストロークを「あなたという存在を認めているよ」という存在認知のメッセージであり、“心の栄養”と表現しています。「心の栄養」と聞くと、とても分かりやすい気がします。
”心の栄養”
私たちは、食事を一回しただけでずっと元気でいられるわけではありません。同じように、「おはようございます」「ありがとう」「助かったよ」といった言葉も、一度伝えれば十分というものではなく、日々の関わりの中で少しずつ補給されていくものなのかもしれません。
そして逆に、ストレスや緊張が続くと、その“栄養”は少しずつ減っていくということもあるのではないでしょうか。
例えば、
「最近、一人でいる時間が増えているな・・・」
「考え込んでいる時間が長いな・・・」
「いつも“大丈夫です”と言っているけれど、どこか無理をしていそうだな・・・」
そんな小さな変化です。
ただ、実際の職場では、そのサインに気づいていても、
「どう声を掛けたらいいのだろう?」
「踏み込みすぎかもしれない・・・」
と迷うことも少なくありません。だからこそ、特別な声掛けの前に、まずは“挨拶”のような小さな関わりが大切なのではないでしょうか。
「おはようございます」
「お疲れさまです」
「今日、暑いですね」
そんな何気ないやり取りでも、「自分はここにいていいんだ」と感じられることがあります。
実は私自身、長年の指導経験の中で、「もっと良くしたい」「理想を超えたい」という思いが強くなりすぎて、自分自身も、周囲も苦しくしてしまった時期がありました。
「こうあるべき」
「もっとできるはず」
「ちゃんと指導しなければ」
そんな思いが強くなればなるほど、空気が張り詰め、気づけば自分自身も余裕を失っていたのです。
そんな中で、ある時から「楽しい授業」「楽しい指導」というテーマを意識するようになりました。もちろん、「楽しい」と言うと、適当や甘さのように受け取られることもあるかもしれませんが、私自身、最初はこの“楽しむ”という感覚がとても難しく感じていました。
自分が楽しむとはどういうことなのか?
みんなが楽しめる空気とは何なのか?
それは簡単そうに見えて、実はとても奥深いものだったように思います。
プラスのストローク
でも、チームの空気を柔らかくしていたのは、特別なイベントではなく、“小さなプラスの関わり”だったのではないかと、気づいたのです。
例えば、
「ありがとう」だけではなく、
「ありがとう、おかげで助かったよ!」と伝えること。
また、子ども達への指導でも、
「上手!」だけではなく、
「大きく手を回して泳げたね!その調子!」
と、具体的に伝えるよう工夫していました。すると、不思議と相手の表情や反応が変わっていくのです。
ストローク理論では、こうした相手を認める関わりを「肯定的ストローク」と呼びます。
そして興味深いのは、この肯定的ストロークは、相手だけではなく、“伝えている側”にもプラスの影響を与えるといわれていることです。確かに、相手の良い部分を見つけようとすると、自分自身の視点も少し柔らかくなっていく感覚があります。
逆に、否定的な言葉や反応が続くと、チーム全体の空気も少しずつ固くなっていきます。
だからこそ、日々交わす言葉は、思っている以上にチームの”土壌”へ影響しているのかもしれません。
また、「楽しい」という感覚は、単に“その場が盛り上がる”ということだけではなく、人は、安心して笑えたり、声を掛け合えたりする空気の中で、少しずつ自分から動けるようになっていくのではないでしょうか。
「ちょっと手伝いますね!」
「これ、一緒にやりましょうか?」
「こうしたらもっと良くなるかも!」
そんな自発的な行動は、実は“安心して関われる関係性”の中から生まれている場合も多いのではないでしょうか。
そして、その協働体験の積み重ねが、「このチームで頑張りたい」「この人達と働きたい」という感覚へ繋がっていくのかもしれません。
働き続ける理由は、給与や条件だけでは語れない部分があります。
もちろん環境や制度も大切ですが、「誰と働くか」「どんな空気の中で働くか」は、想像以上に人のエネルギーへ影響しているように感じます。
だからこそ、日々のコミュニケーションは単なる会話ではなく、チームの“土壌”を育て、組織を形づくる“大切な時間”でもあるのではないでしょうか。
5月は、チームとしてはまだ“完成”ではなく、“関係性の土壌”を耕している途中の時期です。その中で、「ちゃんと見てもらえている」「気にかけてもらえている」と感じられる経験は、人が安心して動き出すための大切なエネルギーになるのではないでしょうか。
特別なことじゃなく、まずは、挨拶をすること。相手の変化に少し気づいてみること。
そして、小さな“プラスの言葉”を丁寧に届けてみること。
そんな日常の積み重ねが、少しずつチームの空気を柔らかくし、「ここで頑張ってみようかな」と思える関係性を育てていくのかもしれません。
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